たなとふぉびぃ

薬とか、人生観とか、振り返りとか。ネガティブではないけどポジティブでもない話

先発と後発について

 

 

「今回のお薬、ジェネリック医薬品でご用意可能ですが…」

「あ、普通ので。」

 

 

現在、皆保険制度は崩壊寸前…という話は聞いたこと思う。

要は皆で金出して皆の医療費の自費負担減らそうって算段なんだけど。

若い子少なくて(これはマズめ)、

ご高齢の方増えて(こっちはまあええねんけど)

拠出できるお金が少ない割に医療費がかさむようになってきて立ち行かなくなってきた。という話。

 

そこで、医療保険を少しでも抑えられるようにと登場したのがジェネリック医薬品

(以下:GE)

先発品の特許切れに合わせて別のメーカーが作った薬。

主成分とその含量は一緒で、AUCが80%あってたらOKというもの。(その他の試験は自分で調べて)

AUCの比較なもんで、立ち上がりはどうなのとか言われたらメーカーによってそれぞれだと言えるが、IF上図に大きな違いがあるのは見たことがない。

「主成分一緒・含量一緒・AUC大体一緒」で何が不満なんだろうなと常思う。

 

私達薬剤師にとって、割かしGEと先発は同じもの。

こんなに患者からも医者からも嫌われているのは昔、それこそGEが「ゾロ」と蔑称されていた時代にGEの粗悪品が流れたことが最大の原因だ。

古い医者は特に嫌がる傾向あり。

 

ホルモン剤抗がん剤、免疫抑制、抗血小板、抗凝固、ホクナリンテープなどの外用剤。

ここらへんを先発でほしいという気持ちは大いに理解できる。

だが風邪薬などの臨時薬で先発主張する人たちは一体何なんだろうか。

 

 

「アレルギーが出るらしい」←先発の添加物でも出るものは出ますよ^^

「名前が変わるのは嫌」「後発にしてやる義理はない」←気持ちはわかるが、国そっちのけ

「先生が先発は毒だといった」←Drお前いい加減にしろ

 

 

医療費の逼迫度合い、私たちに課せられた使命、薬の経済性。

こちらにも気持ちに焦りが出てしまう。

焼け石に水だろうと、私たちは目の前の患者だけでなく後世の医療まで視野に入れて行動しなくてはならない。

 

 

なのに、

 

「普通ので。」

 

 

普通ってなんだろう。この言葉が返ってくると本当に頭の中が水を浴びたように冷めていく。

GEはもはや普通のお薬だ。

海外製が怖いのは解る、なら日本製でも使えばいいじゃないか。

遺伝子組み換え食品を糾弾する『よくわからないから嫌い』の原理。

「実際に実害があったから」なら是非先発を。

 

 

医師が知り合いにもいるが、大学で養成されている時からすでに

「GEはだめなんだよね?」みたいな考え方に傾倒していた。

 

 

GEでかえって飲みやすくなった薬も多くなってきた。

しかしGEの普及によって先発メーカーが悲鳴を上げるのが私も心苦しい。

どっちも修羅の道。

 

正直、先発を選ぶ人は医療保険とは別にメーカー側、医療保険側に行くようなお金を追加で払うようにしたらいいんじゃないかと思っている。


「GEなら安い」より

「先発は高い」とした方が奴らは宗旨換えするだろう。


GEを安くすると「それくらいの差額ならGEにしない」という猛者も現れるのだ。

なら、先発を選んだ人にはぜひ「追加徴税」を。こちらの医師薬剤師には一銭も入れなくていいからさ。